経営のヒント vol.14 「企業の成長に必要な事業展開の考え方とは?」2020年7月3日
最新号 企業の成長に必要な事業展開の考え方とは?
新型コロナウイルスの感染拡大による混乱が過ぎ去った後の世界は、以前の様には戻らないと言われていますが、この混乱のさなかにおいても、素早く方向転換を行い、成長している企業があります。
今回の「経営のヒント」では、企業が成長するために必要な事業展開の考え方をご紹介します。
企業の成長に必要なことは、「強みを活かす」こと
企業の成長とは、「経営資源」=「ヒト・モノ・カネ・情報」を増加させることであり、そのためには、成長のための戦略を企てる必要があると言われています。
この企てを成長戦略と言い、「強みを活かし成長する」ことを目的としています。
強みについての議論は様々ありますが、ここでは、「儲けの要因となっている他社との違い」と捉えていただければよいと思います。
企業の成長に必要な方向性
強みを活かすためにどのように考えていけば良いのでしょうか。代表的な方向性は下記の4つです。
【成長に必要な方向性】
- 従来の顧客に従来の商品等を提供
- 従来の顧客に新しい商品等を提供
- 新しい顧客に従来の商品等を提供
- 新しい顧客に新しい商品等を提供
この4つの方向性を志向する際、自社の「技術力」と「販売力」のどちらが得意なのか、どちらを活かすべきなのかを考え、分析することによって、方向性を見出しやすくなります。
例えば、「技術的なこと」が得意であれば、今の市場以外にも販売をする。また、「販売をすること」が得意であれば、新しい商品やサービスを販売することなどが挙げられます。
今回のコロナ禍のような状況では、現在行っている事業に加えて、新たな事業を行うことも必要になると思います。
強みを活かす具体例
以上を踏まえて、ニュースや新聞などで見かけた、企業の成長要因となり得る事業の具体例を紹介します。
事例1 進学塾によるオンライン講義の提供
この事業は、「講義そのもの」に強みがある進学塾が、オンラインで講義を行うことにより、提供するサービスも市場も同じではあるものの、「教室の大きさ」に依存せずに、講義を提供することができます。
そのため、売上のキャパシティが増加し、広告宣伝等の活動にも余裕が生まれます。
事例2 デリバリーも行う外食チェーン店が食材などを提供
この事業は、「外食チェーン」として販売力を活かし、「内食に係る食材」を新たに提供する事例です。
大きな投資をせずとも、顧客単価を高めることが期待できます。
事例3 衣料品製造業による医療用防護服製造
この事業は、「衣類製造に係る仕入や縫製」に強みのある企業が、新たな「医療・衛生用品市場」に参入する事例です。
新たな投資をせずとも、新しい市場を開拓することができるため、売上高の改善が期待できます。
事例4 地域の飲食店が連携し、テイクアイウトメニューの開発と提供
この事業は、飲食店が新たに「お弁当」を開発し、外食市場ではなく、「中食市場」で事業を展開する事例です。 単体の店舗ではなく、複数の店舗による「水平的な統合」と言えます。
具体的には、駅前に店舗を構える「販売力」がある事業者を中心に、「技術力」のある店舗がメニューを持ち寄ってテイクアウト用お弁当を販売します。
コロナ禍のような苦しい状況において、小さなリスクで取り組むことができる上、売上高の改善が期待できます。
企業の成長や倒産リスク軽減のためには「備え」が必要
ご紹介した事例は、経営課題を分析し、経営を見直した結果生まれた経営課題解決策と言えます。日ごろから、将来の様々なリスクを軽減するために、経営の見直し等を行ってみてはいかがでしょうか。
公益財団法人 神奈川産業振興センターでは「企業経営の未病CHECKシート」のWebアプリを作成しています。このWebアプリをぜひご活用いただき、自社の経営リスクに気づかれた場合は、企業経営の未病相談ダイヤルや商工会・商工会議所にお気軽にご相談ください。
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(提供:公益財団法人 神奈川産業振興センター)
経営総合相談課 サブコーディネータ
中小企業診断士 薮田 拓也