経営のヒント vol.21「トラブルを未然に防ぐために ~下請かけこみ寺への相談事例のご紹介~」2022年4月11日
最新号 トラブルを未然に防ぐために ~下請かけこみ寺への相談事例のご紹介~
仕事が忙しく、契約内容をよく確認せずにサインしてしまった。
よく知る取引先との契約は、口約束で、契約書を交わしていなかった。
取引先との契約に関して、こういったことからトラブルに発展してしまうケースが多くあります。
今回は、中小企業の取引上の悩みに関する相談窓口、「下請かけこみ寺」に、実際に寄せられた相談内容をご紹介します。
契約トラブルにご注意ください
公益財団法人神奈川産業振興センターでは、中小企業・個人事業主・フリーランスの皆さまが抱える取引上の悩み相談を受け付け、問題解決に向けて専門の相談員がアドバイスを行う「下請かけこみ寺」を設置しています。
今回は、下請かけこみ寺が受け付けた、最近増えている“○週間無料のインターネット求人広告”と“個人事業主の業務委託契約”についての相談内容をご紹介します。
いずれも気をつけていれば防ぐことができたトラブルと言えます。
トラブルを未然に防ぐために、契約には注意を怠らずにあたってください。
トラブル事例1:「○週間無料 求人広告」を契約したところ…
製造業をしているA社の社長は、飛込みで来たB社の営業員から「2週間無料でインターネットに求人広告を掲載します」と勧誘されました。
無料期間終了前に継続の有無について電話で確認すると言われたので、無料ならいいかと軽い気持ちで契約書にサインをしてしまいました。
その後、A社の社長は仕事が忙しいこともあり、すっかり確認電話のことを忘れていましたが、2週間を過ぎたころ、突然B社から50万円の請求書が届きました。
驚いたA社の社長は、B社に確認の電話したところ、B社から、「無料期間を過ぎれば自動継続で有料になる」と契約書に記載されていると言われました。
契約書を確認すると、目立たないように小さい字で記載されていました。
A社の社長は、「事前に継続の有無を電話で確認すると言っていた」と抗議しましたが、B社は「そんなことは言っていない」の一点張りで受け付けません。
困ったA社の社長は、「下請かけこみ寺」に相談し、助言を受けることにしました。
トラブルポイント
この事例でのポイントは、A社の社長が「無料」という言葉に踊らされて、契約書の内容をよく確認せずにサインしてしまったことです。
仕事が忙しく、項目が多いので契約書の内容をよく確認しないでサインしてしまったという相談が多く見受けられますが、最初から相手を騙すつもりの契約の場合は、詳細な説明がないのが特徴なので、注意が必要です。
トラブル事例2:口約束での契約で…
大手運送会社の一次外注先であるC社から、個人事業主のD氏は配送の仕事を請け負いました。
口頭の説明では、配送した金額(単価×個数)以外にも、日当として15千円を支払うとのことでした。
ところが、翌月振込まれた金額に日当分は反映されておらず、逆に事務手数料という名目で5千円が差し引かれていました。
D氏は驚いて抗議しましたが、C社に取り合ってもらえなかったので、仕事をキャンセルしたいと申し出ました。
すると、C社から、「仕事をキャンセルするのであれば、違約金として30万円を請求する」と言われました。
D氏は、「下請かけこみ寺」に相談し、助言を受けることにしました。
トラブルポイント
この事例のポイントは、口約束だけで業務を受託してしまったことです。
口頭で約束した場合でも、当事者同士が承諾の意思表示が合致していれば契約は成立しますが、法的トラブルが発生した時、口約束のみの契約の場合、契約内容の証拠が残らないため不利になる恐れがあります。
契約書を締結しないで仕事を請負う例が多く見受けられますが、法的トラブルに対応するためにも契約書の締結は必要です。
なお、契約書に記載のなかった事項については、双方が協議のうえ合意する必要があります。
下請かけこみ寺について
下請かけこみ寺は、このようなトラブルなどについての相談を無料で受け付けています。
もし何か気になることがありましたら、大きな悩みになる前に、まずはご相談ください。
お問い合わせ先
TEL:0120-418-618 (下請かけこみ寺専用ダイヤル)
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(提供:公益財団法人神奈川産業振興センター)
経営総合相談課 田澤 雅一