経営のヒント vol.30「カーボンニュートラルの進め方」2024年7月1日
最新号 カーボンニュートラルの進め方
「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。
すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします。」
於:令和2年(2020年)10月第203回国会における菅内閣総理大臣の所信表明演説
この宣言から4年が経とうとしています。
今では、大企業だけでなく中小企業を含めたサプライチェーン全体でカーボンニュートラルが求められています。
そのため、カーボンニュートラルの流れ(潮流)を知らずして事業を展開することが避けられない状況になりつつあります。
これら施策を必要に応じて適宜利用し、自社に不足している経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を補い事業展開することが時流を捉えた経営といえます。
本コラムでは、これらの現状に鑑み、カーボンニュートラルの進め方をポイントとともに紹介します。
3つのステップ
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量(以下、本コラムではCO2排出量とする)を全体でゼロにするものです。
一足飛びには実現できませんので、順を追って次の3つのステップで進めていきましょう。
まずは、カーボンニュートラルの潮流を ① 知る ことからはじめ、自社の進むべき方向性を検討します。
そして、自社事業のCO2排出量を ②測る ことで現状を把握し、排出量ゼロに向け取組みを計画します。
あとは、計画に従い排出量を ③減らす です。
以下、各ステップについて説明します。
ポイント:ビジネスチャンスとする
カーボンニュートラルの取組みを機に自社の経営戦略を見直し、競争力強化と持続的成長を図るべく、経営者の強い意志と推進体制を整え全社で取り組んでいきましょう。
知る
顧客・取引先、所属する業界団体、行政・支援機関などに積極的にアプローチし、自社の経営を取り巻く事業環境のカーボンニュートラル実現に向けた動き(潮流)を知りましょう。
そして自社事業との接点を探り、カーボンニュートラルの動きをビジネスチャンスと捉え、事業の方向性・戦略を策定しましょう。
ポイント:全社で取り組む
全社の取組みとすべく、経営陣と従業員で議論を重ね自社の将来像を想い描いてみましょう。
測る
自社のCO2排出量の現状を把握し、「知る」のステップで策定した方向性・戦略の具体的な取組みを検討します。
まずは、自社のCO2排出量は次の式で算出します。
CO2排出量=エネルギー使用量※1×排出係数※2
※1:自社のエネルギー(電気、ガス、ガソリンなど)使用量⇒領収書、検針票などから把握
※2:単位エネルギー使用量当たりのCO2排出量⇒環境省HPで調べる
表計算ソフトで算出しても構いませんが、無料のCO2排出量算定ツールなどもあります。
自社にあうツールを活用して算定しましょう。
そして、「知る」のステップで策定した方向性・戦略に従いエネルギー使用量を減らす具体的な取組み(目標値)を計画しましょう。
また、次の式でコスト削減額も試算してみましょう。
コスト削減額=エネルギー削減量×エネルギー単価
ポイント:見える化
エネルギー使用量、コストおよび目標値などは数値で、具体的な取組みは工程表(ロードマップ)などで見える化し、全社に共有の上カーボンニュートラルの取組みを通常業務の一部として取り込んでいきましょう。
減らす
「測る」のステップで計画した具体的な取組みをPDCAで継続的に実施していきます。
削減目標に対する実績(削減量、削減コストなど)を数値やグラフで把握し、社内で取組みを見える化・共有します。
また、自社の取組みをHPなどで公開することでカーボンニュートラルに取組む事業者としてアピールし、サプライチェーンを担う選ばれる企業になりましょう。
ポイント:社内外へ発信
取組みの社内共有はカーボンニュートラルに取組む従業員のモチベーションを高め、意識醸成につながります。
社外公開は自社の知名度・認知度があがり企業価値向上につながります。
ご相談ください
今回、カーボンニュートラルの大まかな進め方を紹介しましたが、個社に応じた取組みにする必要があります。
神奈川産業振興センターでは、カーボンニュートラルのワンストップ相談窓口を設置し、補助金や支援策の紹介や必要に応じて個社支援を実施しています。
「カーボンニュートラルって取り組まなきゃいけないのかな?」
「取引先からカーボンニュートラルの取組みの要請があった…」
という悩みにも対応いたしますので、ぜひカーボンニュートラルワンストップ相談窓口までお気軽にご相談ください。
詳しくは神奈川産業振興センターホームページをご覧ください。
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提供:公益財団法人神奈川産業振興センター
経営支援部 経営総合相談課
カーボンニュートラル支援アドバイザー 安達 功